詩人の谷川俊太郎さんが、92歳で亡くなられたという訃報が流れてきました。
谷川俊太郎さんが訳した絵本が、一冊だけいつでも手の届く本棚にあります。「悲しい本」。息子を失った一人の男が、自分の悲しみを淡々と見つめる本。感動するとか、心に染みるとかではありません。
マイケル・ローゼン作、クェンティン・ブレイク絵、谷川俊太郎訳。
ローゼン、ブレイク共にイギリスの方です。
誰にも、
なにも話したくないときもある。
誰にも。
どんなひとにも。
誰ひとり。
……私の悲しみだから。
ほかの誰のものでもないのだから。
絵本を読みながら、自分の感情とどう付き合うか、なんとなく学ぶことができます。
教訓めいた表現はなく、ありふれた悲劇について、詩人の目で語られるだけです。 まったくセンセーショナルなところはなく、「こうして悲しみから立ち治ることができた」みたいな、救いがあるわけでもありません。
人間はずっと悲しいのでも、ずっと嬉しいのでもない。ずっとふざけているのでも、ずっと真面目でいるのでもない。もしそういう人がいたら、その人は、ちょっと狂ってしまっているところがある。
ずっと笑顔でいることの悲壮感たるや、はかりしれないとすら思うのです。
医学用語や、心理学用語でスパッとメスを入れることもできるのかもしれませんが、あえてそうしない方がいいことも、この世にはあるような気がします。
まとめとかないんですけど、谷川俊太郎さん、どうぞ安らかに眠ってください。
会ったこともないような人たちから、お悔やみを言われるってどういう気分なんでしょう。
今週もどうかご無事で。